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不屈の鉄十字エース

出張のお供に「不屈の鉄十字エース―撃墜王エーリッヒ・ハルトマンの半生 (学研M文庫)」を買う。第二次大戦中、ドイツ東部戦線にて全人未到(誤記ではない)の352機もの敵機を撃墜したエースパイロット、エーリッヒ・ハルトマンの伝記だ。彼も以前に書いた旧日本海軍のエースパイロットである坂井三郎と同じく、絶対に勝つ態勢を作り上げてから当然の如く勝つタイプのエースであり、敵に攻撃されにくく、敵を撃墜しやすい位置を必ず確保し、無用な格闘戦は可能な限り避けた。
敵とて鵜の目鷹の目で攻撃すべき相手を見つけようとし、また攻撃されまいとしているわけだから、それは決して安易な事ではない。そんな中でほとんど被害を受けず、着実に撃墜スコアを伸ばし、自分だけでなく僚機から1人の戦死者も出さなかったのだから、驚嘆すべき戦術の持ち主だったといえよう。
ハルトマンは終戦後のソ連抑留中においても、人権を無視したソビエト政府当局の過酷かつ非道な仕打ちに耐え、抗い、時には勝利を得ている。彼は裏切りや虚偽の自白を促すような指令や命令には徹底的に戦い、最後まで節を曲げる事はなかった。その精神力の源泉が故国に残した妻への愛だったことが感動的でもある。

不屈の鉄十字エース―撃墜王エーリッヒ・ハルトマンの半生 (学研M文庫)

不屈の鉄十字エース―撃墜王エーリッヒ・ハルトマンの半生 (学研M文庫)