最近、戦争の体験記に魅かれている。エーリッヒ・ハルトマンとかエルンスト・ルーデルを読んだ後、クルト・マイヤーの本を買ったのだが、これが糞つまらない。クルト・マイヤーはたぶん実直な人だったのだろう。読ませる文章を欠くのは苦手だったようで、盛り上がりも何にも無い。
マイヤーのような英雄でもなく、派手な戦闘もほとんど行っていないけれど、読ませるのが「僕は八路軍の兵士だった」だ。満州開拓団として満州にわたり、終戦の際、ソ連軍に捕まったものの中国共産党に引き渡され、成り行きで八路軍から中国人民解放軍の兵士になってしまった人の手記。人間生きてさえいれば何とかなるという楽天さが心を打つ。
八路軍のスタイルも興味深い。敵前逃亡しても死ぬよりマシだから罪に問われることもなく、武器や荷物は逃げるのに邪魔だったら捨てていいし、階級自体もないし、いじめも無い。敵前逃亡は死刑で武器を捨てたら厳罰、上官の命令は絶対で下級兵いじめが横行していた旧日本軍と大違いである。
僕は八路軍の少年兵だった―中国人民解放軍での十年間 (光人社NF文庫)
- 作者: 山口盈文
- 出版社/メーカー: 光人社
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 文庫
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