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亡念のザムド

PlaystationStoreのビデオ配信サービスが9月末から開始され、いろいろとアニメ作品がビデオレンタルよろしく有料時限閲覧サービスとして利用できるようになった。その目玉であろう、「亡念のザムド」を400円払って視聴する。
近頃は最初から明らかにしておけばいいものを伏線やら謎と称して出し惜しみする作風が広がっているが、「ザムド」もその伝で客を惹こうとしているらしい。
それは物語の魅力の貧弱さを粉塗する手段でしかないのに、受けるから許されているかのように色々な物語に伝染している。ものすごく頭に来る。ストリッパーの覚悟も無いアホが30分の持ち時間のうち29分までチラチラ気を持たせ続けて、最後の1分に全部見せる(しかも次回公演に気を持たせるため照明は暗い)ようなもので、客としては時間の無駄遣いにつきあうのが嫌だから、自衛手段としてネットで情報集めといて、最初の2話と最終2話ぐらい見ればいいやという態度に訴えたくなる。てめぇの裸体に魅力がたっぷりあるのなら、30分の持ち時間を費やして客にすべてを堪能させられる筈だというのに。
こんな悪習を広めたのはおそらくデイビッド・リンチの「ツインピークス」とそのエピゴーネンどもだろう。日本では浦沢直樹が主たる源かも知れない。話の筋そのものに魅力があれば、気を持たせる謎なんか無くても客を引っ張れる筈である。謎なんかスパイス程度であればいいのに、ネタが貧弱なもんだからスパイスをたんとふりかけて誤摩化すしか無いような送り手が昨今多すぎるし、そいつらが巨匠づらしているのには反吐がでそうだ。
三国志」に伏線があったか?黒澤の「用心棒」に謎があったか?安易な手段で客寄せしてんじゃねぇよ。一回一回の物語そのものに客を引きつけろよ。「うしおととら」みたいなのも結構だから伏線そのものは否定しないが、区切り毎にカタルシスをもたらせよ。ジジイや馬のしょんべんみたいにでれでれ垂れ続けてんじゃねぇよ。手の内を全部晒した上で客の予想を遥かに超える展開で魅了してオチまで引っ張るからこそ、創り手と受け手の間のせめぎあいも含めて面白いんじゃないか。
てなわけで俺は浦沢直樹はもちろんのこと、平成仮面ライダーシリーズのストーリーテラーは一切評価していない。こそこそネタを隠してる寿司屋なんか誰が贔屓にするものか。途中途中のネタも大した事無いのに。20〜50回通わないとネタのすべてを出さないなんてどんだけ思い上がってる寿司屋なんだよ。あげくの果てに通ったことが無駄だったと思わせるんだからふざけた話だ。幼い頃にみた仮面ライダーは一話ごとに興奮して楽しかったのにさ。
一応、「ザムド」は4話まで見たがあとはネットのまとめに期待して、ラストだけまた買うことにする。一話毎が「探偵物語」や「ボトムズ」みたいに面白かったら買ってやるんだが、4話まできてグダグダやって謎や伏線で引っ張ろうとしてやがる姿勢にあきれたのでつきあってあげない。ゲームに例えるんなら2時間もチュートリアルが続くようなもんだぜ。時間と金返せってレベルだろ。