Look on the Bright Side of Things

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力を抜くと言うけれど

毎週末には道場に通って稽古をしている。長年やっているので師範にはなかなか稽古を付けてもらえず、最近は初心者に稽古を付けることが多い。
何でもそうだが初心者に稽古を付けるのも自分の稽古になる。彼らの上達を助けるなかで、どうしても自分自身の錬度と向き合うことになり、彼らの悪癖に対する指摘はそのまま自分に跳ね返ってくるのだ。
この間もガチガチに力を込めている初心者に力を抜けと繰り返し注意をしたのだが、そういう自分が力を抜いているかというと、どうしても力を抜ききれないでいる。力を抜けと言うけれど、それはクラゲのようになれ、というのではなく、可能な限り最低限の力をつかい、必要のない力を使うな、ということなのだが、その見極めが難しい。
融通無碍で留まることなく偏ることもない姿こそ理想なのだが、迷いや不安があるとどうしても技が滞る。そうすると力でごまかさざるを得なくなる。技そのもの、姿勢そのものにこそ力が宿るのであって、力でそれを支えようとすると技も姿勢も歪んでしまう。結果、師範に叱られることとなる。
そこには心のあり方が大きく関係しており、一瞬の遅疑逡巡が全てをスポイルしてしまう。初心者は遅疑逡巡の塊だからどうしてもうまくいかない。状況そのものをゆったりとさせて遅疑が遅疑でなくなるようにしてやらないと、逡巡が止むことはない。
ゆっくりと使いつつ速い状況をコントロール出来れば達人なのだが、そこに行くまでには長い階梯を歩んでいかなければならない。