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椿三十郎の粗悪品

テレ朝で放送されていた「椿三十郎」のリメイク版をちょっとだけみる。今様にしようとしすぎと見えた。織田がちっとも世塵にまみれた素浪人っぽくない。前髪をたらしているのが餓鬼っぽい。しゃべり方もチンピラにしかみえない。中村玉緒武家の上臈には見えない。せいぜい旅館の女将がちょうど。藤田まことも腰が軽すぎる。脅迫にのらくらと耐え抜いたふてぶてしさがない。
これは演者全員に言えることだが、声が高い。腹が据わっていず、腰が軽いため声がうわずりがちになる。かといって低くしようものなら響かずくぐもってしまう。往時との生活習慣の違いであろう。幼少から椅子で過ごすことが多くなるとああいう声になるのだ。着付け一つとっても帯の位置が高すぎる。洋装のベルトの感覚で帯をしてはいけないのだ。あれでは腹を据えられないため、刀の構えも頼りなくなる。そういうところをおろそかにしていてはリメイクの意味がない。
画面の構図もDVD化を意識しているのかと思われるほど、TV視聴向きの構成。為にスケール感が失われてしまっている。総じて軽い。軽薄と言っていい。脚本がいいから救われているが、それがなければ大失敗作だろう。