Look on the Bright Side of Things

Anderson's Blog - since 2005

一人稽古

久しぶりに公園で一人稽古。力の方向・加減を確認しつつ、ゆったりと技を行う。ほんの2年ほど前までは、常に全力で身体のバネをフルに使うような稽古ばかりしていたのだが、そういう無意味なことはやめた。本来、技は軽く使うべきもの。軽く使えば使うほど、鋭さが増す。姿勢そのものに既に力が宿っている。その姿勢を変える、動かすことにより、姿勢に宿った力が解放される。それ以上は要らないのだ。
例えていうなら、スキーをするためには坂を登らなければならないが、全力で坂を登ったとしても、それは滑る時の速度には何ら影響を与えない。早く滑り始めるためには全力で登らなければならないかも知れないが、登り始める時間を前倒しにすれば、滑り始めもそれほど遅くならない。登るのに疲れてない分、楽に滑れる。
目先の速さ・鋭さにとらわれていたころは、いつも必死で登っていた。滑る時も必死だった。お陰で滑りすぎたり、コースアウトすることも多く、余計な手間が掛かっていた。今でもそういう癖が完全に抜けたわけではないが、かなり楽に技を行えるようになった。そういう風に使い始めると、色んな事が変わってくる。以前のスタイルでは迂遠且つ不充分に思えた技の構成が、今の視点で見るとその構成が必然であるように見えてきた。以前は不合理に思えていたことが、全く合理的に見える。不合理だったのは自分自身だったのである。
稽古とは、自らの不合理を正していく過程なのだろう。そういう意味で、合理的な技を用意してくれていた流儀と代々の継承者には、ただひたすら感謝あるのみだ。