Look on the Bright Side of Things

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CG映画

中学生の頃、マンガ描きをともに趣味とする友人と、CG映画の嚆矢となった「トロン」を見に行った。ストーリー自体はよくある異世界冒険譚の変種で、異世界に迷い込んだ主人公が悪の魔王を倒して、世界に光が戻って来るという内容の、たわいもない話だった。しかし何せ当時としては圧倒的な量のCGを用いた映画である。すっかり興奮した私は友人に「これは凄い、きっとアニメや特撮を駆逐するだろう」と熱っぽく説いた。それがアニメ好きの友人を刺激したのか、彼は「CGは冷たすぎる、アニメや特撮に置き換わることはなくきっと廃れる」と猛反論してきた。たしかに当時のCGは活き活きとした表現が出来ておらず、特撮についてもミニチュアを使ったものの方がまだまだ表現力が豊かだった。
しかし、浅はかな中学生のこと。まさかアニメの大御所ディズニーがCGアニメを連発し、特撮映画の代名詞、スターウォーズ・シリーズがCGを大々的に使用した映画になるとは夢にも思わなかった。とはいうものの、スターウォーズも外伝の「クローン戦争」ではアニメを採用しているし、CGを取り入れてはいるものの、アニメはまだまだ盛んである。むしろキャラクターに手書き風味の描線を付加したりして、アニメ的表現をわざわざCGで再現している例もある。
結局の所、2人とも正解だったし、不正解だったのである。
Mr.インクレディブル」を見ていて、フトそんなことを考えたのだが、これ、原題の「The Incredibles」を活かせなかったのかなぁ。「スーパーファミリー・インクレディブル」とか「インクレディブルさん」とか。
この映画が見ていて楽しいのは、往年の007シリーズやサンダーバードみたいな雰囲気と、「トムとジェリー」とか「ロードランナー」などの60〜70年代アメリカアニメのような雰囲気が入り交じってるからだろうか。
声を当てている俳優たちの演技も素晴らしく、黒木瞳三浦友和もいいのだが、なんと言っても宮迫博之の悪役振りがイイ。普段なら字幕付き英語版で見ることの多い洋画DVDだけども、これに限っては日本語で見ることが多い。ただし、監督のブラッド・バード演ずるエドナ・モードの登場シーンだけは英語で見るけれど。あの味は日本語じゃ出せないだろう。

Mr.インクレディブル [DVD] トロン [DVD]