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応挙と芦雪

電車の広告で円山応挙とその弟子、長沢芦雪の展覧会が開催されているのを知り、奈良県立美術館へ赴く。日曜というのに入館者はまばらで、のんびりじっくり眺めることが出来た。応挙はもちろん天才だが、芦雪はその天才を踏み台にしてさらなる高みへ登った存在のように思える。芦雪にはユーモアと共に逸脱の心地よさを感じる訳だが、それはもちろん、応挙からの逸脱であるから、応挙無くして芦雪はない。
屏風絵などが展示されており、近くから覗き込んだり遠くから俯瞰したりして楽しんだ。絵の構図が屏風の山と谷を意識しており、そのおかげで立体感が増していることに今回初めて気付いた。ちょっと感動。美術館内では掛け軸の複製品が売られていたが、本物を見たあとでは全く食指が動かなかった。
美術館を出て、そのまま帰阪するのももったいないと思い、刀剣と鎧の展示をしているというので春日大社の宝物倉へ歩いた。観光客が多く、あちこちで鹿せんべいが売れている。9〜11月は鹿が発情期に入っているそうで牡鹿からは強い臭いがしていた。春日大社の展示物にはほとんど見るべきものが無く、展示物の解説文にやたらと神への崇敬が強調されているのが、押しつけがましく、牡鹿以上の臭みを感じて辟易した。
春日大社を出た後、東大寺大仏殿へ向かう。ここも観光客と鹿で賑わっていた。大仏殿はなにやら祭礼の準備中とのことで、正面からは入れず、側面から入る迂回路が用意されていた。大仏は相変わらずの存在感。といってもお目に過掛かったのは小学生の頃の遠足以来。あのときは正門から続いて真っ正面から入れたはずだ。徐々に見える大仏の大きさに感動した憶えがある。今回は側面からだからその感動はちょっと薄れた。大仏殿内に記念品売り場があり、御仏のすぐ側で銭商いをする図太さに呆れた。大仏殿を出た後、ここを燃やした松永久秀に想いをはせたのは、そのせいかもしれない。大仏を見たあとは歩いて近鉄奈良駅へ向かい、帰阪する。