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ナンバ歩き

いまから15,6年前、まだあまり多くの人には知られていなかった甲野善紀の本にはまったことがある。演武のビデオなどを見て、うわーすげーありえねー、とか思っていた。とうぜん、ナンバ歩きにも興味を持って、手をポケットに入れて振らないようにして、身体を捻らないように歩いてみたりしたこともあった。甲野氏については、今はあまり評価していない。ちゃんと師匠について、伝承を担って、しがらみに束縛されてから物を言って欲しいな、と思うのである。つまみ食いしてんじゃねぇよ、と。
歩み、歩行は一見何のこともない動作のように思われるが、テーマを持って取り組むと、これはこれで飽きの来ない、奥の深いものである。
件のナンバ歩きとは、通常、踏み出す足と左右反対側の手を前に出す、腰を捻る歩みとは違って、手を積極的には振らず、身体を捻らないようにする歩き方のことである。
ナンバの利点は疲れないということに尽きる。体軸がぶれないから、ぶれを制御、抑制するような筋肉は使わないで済むし、移動速度も速い。身体の中心線がそのまま前に移動するような形になるので、視界が左右に変化せず、そのお陰で移動中、こちらに向かってくる景色の流れが一定となるため、景色の変化(横合いからの飛び出しなど)に気付きやすくなる。
ナンバ的な歩き方をすると、色んなことが楽になるのだ。最初はなかなかうまく歩けなかったのだが、中心線を左右にぶれさせないこと、背筋を伸ばして目付を高くすることを重要視して歩くようにしているうちに、いつしかそんな歩き方になってしまった。