「北斗の拳」最初のクライマックス、ケンシロウ＋トキvsラオウの闘いにおいて、トキの秘孔縛を破りラオウに襲い掛かるケンシロウの姿に、トキは「肉体を支配するは精神！」と己の確信を強く念じた。
それはまったくそのとおりで、心持ち一つで技が変わるのだ。ちまたでナンバがどうの、無足がどうのとテクニカルタームが飛び交っているが、そんなものは些事なのである。
心が定まり、その心持ちを表現しようとすると、結果として技が導かれていく。師匠のたった一言で、今までおぼつかなかった技が、ガラリと変化するのだ。その一言には、足運びがどうのとか、体捌きがどうのとかいう、技術的な単語は含まれていない。主に意識的な変化を促すような、考え違いや意識や視点の低さを指摘するような内容のことを言われる。それによって気付かされて考えをあらためて技を行うと、運足から体捌きからなにから豹変するのである。
もちろん、そこに至るまでの間にはテクニカルな指摘とそれをうけての修練が存在するのだが、そこに注目し続けるようではただの身体オタクに留まるのみだろう。
