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暗号解読

何年か前に読んで抜群に面白かった「フェルマーの最終定理 (新潮文庫)」の著者、サイモン・シンの「暗号解読」を読んだ。これまた抜群に面白い。暗号化とそれを打ち破る解読の歴史と実際の暗号化方法、解読方法の説明が実にわかりやすく、また興味深く描かれている。
私も思春期頃に誰にも読めない自分だけの暗号を作ったりしていたが、この本を読んだだけでも直ぐに解読できてしまっていただろう。見られまいと智恵を絞り、またその知恵を絞った暗号をなんとかして暴こうとする千年以上にわたる人の営みは、想像もつかないほどの巧妙な暗号システムと解読システムを作り出してきた。
何年か前に「聖書の暗号」などというバカ向けの本が、バカを中心として話題に上ったことがある。あんなもの暗号とも呼べないお粗末な代物だったのだが、それについてもちょっとだけページが割かれている。無知は罪だとつくづく思う。暗号にまつわる凄まじい攻防について、いささかでも知識が有れば、作者もあのような恥さらしをせずとも済んだだろうに。
私も仕事上、社内システムのネットワークにおいて、暗号化のお世話になっているのだが、詳しい動作原理はよくわからなかった。この本を読んでそれがおぼろげながらにわかってきたのは良かった。SSL証明書の更新とかで、自分がやっていることの意味がやっと分かったのだ。
現在、理論的に解読不可能な暗号方式である量子暗号の実用化に向けたテストがあちらこちらで行われており、来るところまで来たような感が有るのだが、暗号自体にインテリジェンスを持たせることは出来ないものか。こういう奴には読んでほしくないとか、自律的に判断してDecode/Uncipherするようなものが有ると便利なんだが。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)