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マトリックス・レザレクションズ

吹田エキスポシティのIMAXレーザーで観てきた。

1999年に公開された「マトリックス」を俺は一体何回観たことだろう。今のような動画配信サービスもなかった当時、劇場に7回も足を運び、海外でいち早く発売された英語版のVHSソフトを輸入し、DVDが発売されたときにはPS2と同時に購入して、何回も何回も観た。のちにBlu-ray版も購入した。

マトリックス」になぜドハマリしたのか。それは俺が当時IT技術者で、大学の卒論ではマーシャル・マクルーハンジャン・ボードリヤールを読み込んでたし、武術修行者で、ジェット・リーもののクンフーアクションファンかつ、サイバーパンクを含むSFファンだったからだ。「マトリックス」は、もう俺のために作られた映画だと要っても過言ではないぐらい、俺の嗜癖をジャストミートして撃ち抜いていた。

当然ながら「リローデッド」「レボリューションズ」も観たが、一作目ほどの熱狂はなかった。救世主の存在すらシステムの一部でしかなく、覆せないまま。「リローデッド」はアクションシーンに驚かされたものの、それだけでしかなく、「レボリューションズ」に至っては、竜頭蛇尾とはこういうことかなと、寂しさすら感じた。結局はなんの開放も得られずにシステムに飲み込まれたまま、人類には大した救済もなく終わるため、後味が非常に悪かった。

それなりに完結したはずの「マトリックス」シリーズが18年ぶりに制作・公開されると聞いたとき、竜頭蛇尾に蛇足をつけてもどうにもならんやろ、と怪しんで、それでも第一作目でハマった身としては、見届けねばなるまいと、最高の鑑賞施設の一つであるIMAXレーザーで観ることに。

まあ、終わり方は綺麗でこういう結末もありかな、まだ続ける余地残して大丈夫かな、という感想。

よくわからないのはキーキャラクターであるバッグスがいつどこで、どうしてネオを視認したのか。ネオはトーマス・アンダーソンの牢獄の中にいたはずだから、飛べないだろうに。牢獄の中から知らずに周囲の存在へ影響を及ぼしていたのだろうか。

そのへんが明確に描かれていないものだから、物語を駆動していく力が弱く感じられ、なぜ命がけでネオを脱獄させようとするのかがわからない。

スミスがネオと部分的に共闘するのは有りなのだけど、スミスの目的がいまいちハッキリしていない。

なので結構モヤモヤ感が残り、スカッとはしない。そして一作目の衝撃は残響としてもわずかに感じられるのみ。やはりどうあがいても蛇足だよね。

 

独身時代ならば、日本語吹き替えも堪能するためにもう一度、劇場に足を運んだかもしれない。しかし、今は息子ちゃんのお世話があるため、勝手な真似はそうそうできない。

とはいえ、昨今は劇場公開からあまり間を置かずに配信サービスで視聴ができる。IMAXとはいかないが、4Kならば画質に文句はないし、なにより、尿意との戦いをしなくて済むのがありがたい。

膨大な人数が関わっているのはわかるんだけど、そろそろハリウッドはスタッフロールの短縮化を真剣に考えたほうがいい。あの長さと無為な時間は余韻に浸るどころか苦痛ですらある。