Look on the Bright Side of Things

Anderson's Blog - since 2005

針路

失業して以来、3ヶ月ぐらいはブラブラして休もうかなーなどと考えていたけれども、貯金もそんなにないし、早寝早起きもせずダラダラしてると人間が腐ってくるのが怖く、4月が終わる頃には早く進むべき方向を決めて動いたほうがいいなと思うようになってきていた。もともと製造業、ものづくり産業へ転身したかったのだが経験もない年寄りを雇ってくれるような奇特な企業なんかないだろうから、なんとかならねえもんかと案じていたところ、職安の講習で公共職業訓練の話を聞く。これだ!と思って申し込みを行い、現地の見学説明会にも参加した。
見学説明会では入所試験についても説明が行われ、その時の担当官は例題を示しつつも「別に試験勉強の必要はありませんよー、面接を重視しますからね」と言っていた。でも俺は例題に載っていた鶴亀算が解けなかった。算数や数学は苦手科目であり、俺は高校二年から文系特進コースに編入されたこともあって、それ以来数学は勉強したことがない。解けないよりは解けたほうがいいし、進むべき方向には数学がどうしても必要らしい。必要があるのなら少しでも学んだほうがいいだろうと、例題に合わせて小学生向けの算数問題集を100円ショップで購入して、割りと真面目に勉強した。問題集には解法までは書かれていなかったため、それらについてはネットを参考書にして学んだ。分数の割り算とか連立方程式の解き方なども完全に忘れていた。
試験例題では他にも国語や立体透視図、展開図などがあったが、これらは全て得意問題。改めて勉強する必要を感じなかった。

訓練コースには定員があり、誰でも参加できるわけではなく、適性も求められる。倍率は時期によっても異なるのだが、4倍とかになるらしい。お金をもらいながら技術を習得でき、就職活動の支援もしてくれるという有り難い内容なため、応募者もそれなりには多いのだ。

さて試験当日。担当官の指示に従い問題を解いていくのだが、やはり勉強しておいてよかったなと。解けなくて不安を感じるぐらいなら解けて安心したほうがいいに決まってるものね。それでも甘く見ていたところがあったせいで、フォローしていなかった平方根の加減算についてはさっぱり分からなかった。それ以外については引っかかるところは全くなく、立体透視や展開などは一瞬で解けた。国語なんか屁みたい。その他、特殊な問題があったが詳述は避ける。こんなところでライトセーバーの制作作業が少し役に立った。こんがらがるから作業順序を考える必要が結構あるのよ。SMDレジスタのハンダ付けなど細かいこともやったしね。あと、危険防止については工作経験はもちろん、親の手伝いをしていたから子どもの頃から自然と身に付いている。

筆記試験終了後、面接があり、ここでは包み隠さず、偽ること無く本心を述べた。もちろん、試験日までに自分のやりたいこと、進みたい方向、なぜその道を選ぶか、訓練に期待することなどについては簡単に分析してまとめて整理しておいた。自分の本心というのは事前に整理してまとめないと案外答えられないものなのだ。
面接では「えっ?」っていう質問があったが、これは見学会にまじめに参加していればまず答えられるはずだ。

てなわけで試験を受けてからその結果発表までまんじりともせず、とくに試験終了直後は落ちてるだろうなぁなどとくよくよしたり、気を揉まざるを得なかった。落ちたら落ちた時のこと、次の手を打つだけだ、などと思ってみるも、くよくよしてしまうのである。

2、3日後、運命の通知がポストに投函されていた。封筒を透かしてみると、なんか長めの文章が見える。不合格ならそんなにクドクドとは文章を書くまい、きっと合格だとドキドキして開封したところ、果たして合格だった。こんなにドキドキしたのは久しぶりの事だ。合格通知を一見したときはパッと目の前の扉が開いた感じすらした。

これで一歩、針路に向かって歩み始めることが出来た。あとは邁進するだけだ。学ぶことは目的ではない。あくまで必要だから学ぶだけのこと。その先にこそ、目的があるのだ。