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三国志 Three Kingdoms 35,36

兄の一族を処刑すると脅された諸葛亮劉備に懇願し、荊州東三郡を割譲するよう約束する。喜んだ諸葛瑾関羽のもとに向かうが関羽は呉を侮り、断固として譲らず、呉より派遣された官吏を武力で追い返す。
孫劉同盟の存続を危ぶむ魯粛は病身をおして関羽と会見する。関羽を憎む呂蒙は暗殺を目論むが魯粛関羽にそれを伝えて自らを人質に会見の場を去るよう促す。その態度に感銘を受けた関羽は東三郡の割譲を約束する。船で去る関羽を見送った魯粛はその場で倒れ、呂蒙を後任の大都督に推挙、劉備が盛んなときは曹操曹操が盛んなときは劉備と結び、呉がつねに主導権を握るよう言い残して世を去った。
一方、曹操は配下の推戴を受けて魏王の位に登る。しかし漢室復興を大義名分としていた荀イクは一人反対し、曹操の不興を買う。皇帝しか通れない白馬門を通ろうとした曹植荀イクは激しく非難して押しとどめようとする。そこに魏王曹操が現れ、門番を処刑し白馬門を取り壊すことを命じる。荀イクは公然と曹操を批判するが曹操は取り合わない。
悶々として病に陥った荀イクのもとに曹操は程イクを使わして果物の入った箱を送るが、荀イクが開けてみると中身は空だった。荀イクはその意を察したのか自害する。曹操曹丕を従え荀イクの霊前で生前の功を讃えた。
魏王に登った曹操に対し、漢の旧臣が反乱を起こすが曹操のもとに駆けつけた曹丕曹彰の働きにより直ちに鎮圧された。しかし司馬懿曹丕に対し護衛の任に当たっていない者、またその能力のない者が反乱の場に駆けつけるのは叛意があるからだと曹操が考えるはずと説き、曹丕を絶望に追いやる。果たして反乱鎮圧と称して駆けつけた文官を曹操はことごとく処刑した。怯える曹丕に対し意外にも曹操はその功績を褒め魏の太子とした。
曹操が魏王になったことを憤る劉備は天下三分の計の仕上げとして漢中攻略を宣言、呉に使者を送り魏への攻撃を依頼する。劉備の動きを知った曹操司馬懿に策を問う。司馬懿は漢中での直接対決を避け、荊州を攻めることで劉備の攻撃を鈍らせられると説くが、曹操はその案を容れた上で荊州には10万の兵を送り、漢中には曹操自ら30万の兵で当たるとした。
魏と劉備からの支援要請を受けた孫権陸遜に対処を諮る。陸遜は双方から軍費を受けるだけにしておき、戦の趨勢を見守りつつ、荊州攻略のために騎馬隊の調練を行うべきだと説き、孫権はそれを容れた。
漢中攻略を開始した劉備勢の猛攻に守将の夏侯淵は進軍中の曹操本陣に援軍要請を送る。しかし手遅れと見た曹操は苦悩しつつも兵を温存し、夏侯淵黄忠の手によって討ち取られた。機と見た劉備は挑戦状を曹操に送り、決戦を促す。挑戦状に激怒した曹操は諸将を下がらせ一人夕食を取る。今夜の合言葉を確認しに来た兵に対し、曹操は心ここにあらぬ様子で夕食に出ていた鶏肉を弄びつつ、「鶏肋」とつぶやく。その言葉を伝え聞いた楊脩は撤退準備を始める。訝る兵に「鶏の骨は勿体無いが捨てざるをえない」と楊脩は曹操の内心を解いた。軍が楊脩の言に従って撤退準備を初めている事に驚いた曹操は軍を惑わすものと怒り、直ちに楊脩を処刑した。
魏と劉備の軍勢は決戦の地でまみえ、曹操劉備は互いに相手を非難、戦の火蓋が切られる。激戦が繰り広げられる。司馬懿は魏軍がすべての指揮官を投入しているのに対し、劉備趙雲らを温存していることを怪しむ。危惧のとおり、最も手薄である魏本陣に趙雲が来襲してくる。その報を聞いた曹操は興奮したのか頭痛を催して気を失い、司馬懿は諸将に諮り曹彰を殿軍として全軍を撤退させた。
魏本軍を撃退して漢中を手に入れ、大勝利に沸く劉備陣営。宴席で諸将は劉邦の故事に倣い、漢中王の位に登ることを奏した。劉備は辞退するものの、度重なる説得に応じ、漢中王を自称する。諸葛亮は喜びの絶頂にこそ暗雲が忍び寄るものだと一人不安を覚える。
荊州関羽は義兄劉備が漢中を得たことに呼応し、馬良の反対を押し切り北進して魏を攻め、一気に天下統一を成し遂げようとする。しかしその先鋒を任じられた麋芳傅士仁は出撃の前夜、酒に酔って火事を起こし、激怒した関羽に処刑されかかる。戦でこの不始末をはらさせるべきという周囲の言に、不始末を犯すような凡将は戦では使えないと一命を助け南郡一体の守備を命じる。馬良はなおも信任できないものに背後を守らせるのは如何かと説くが、関羽は頑として聞かず、狼煙台を置いて変に応じれば良いとした。
関羽来襲に動揺する魏陣営。先の敗戦に意気を喪失した諸将は敢えて関羽撃退に名乗りをあげようとしない。曹操はやむなく于禁を援軍の指揮官に命じ、先鋒としてならと声を挙げたホウ徳をそれに任じた。
しかし于禁はホウ徳の旧主馬超と兄が劉備に下っているため、信用できないと曹操に進言する。曹操はそれに迷い、一旦ホウ徳に与えた印綬を取り上げる。ホウ徳は憤り、床に頭を打ちつけて自害しようとする。曹操はその姿に疑いを説き、ホウ徳に詫びて改めて先鋒に任じた。
荊州を空けて樊城に攻める関羽。この隙に荊州に攻め入ろうとする孫権呂蒙だったが、陸遜に諌められ、まずは縁組を持ちかけて対応を見るべきとし、関羽の娘を孫権の息子の嫁に乞う。呉を侮る関羽はその話を聞いて一笑し、虎の子を犬の子にやれるかと侮辱して使者を追い返す。怒り心頭の孫権荊州攻めを決断した。
樊城を攻める関羽。ホウ徳が先鋒として関羽と一騎討ちを行うが関羽に圧倒され落馬する。止めを刺そうとした関羽に毒矢を放ち、関羽は左腕を負傷、両軍乱戦となるが関羽は一時陣を後退させる。気遣う周囲に対し、気丈にも地形偵察に出向き、于禁が渓谷に陣を退いたのをあざ笑い、上流の川をせき止め、雨に乗じて決壊させ、一気に魏軍を殲滅し、于禁とホウ徳は生け捕られる。ホウ徳は降伏を拒否して処刑された。
進撃を行おうとした関羽だったが毒矢の傷が悪化し、腕をふるうことが出来なくなる。名医華陀が呼び寄せられ関羽の治療に当たる。左腕を切開し、骨を削るという治療の間、関羽馬良を相手に悠然と碁を打ち、華佗を驚嘆させた。馬良の願いで華佗は、これ以上の進撃をやめ荊州に戻って治療に専念するよう忠告するが、関羽は肯んぜず、その頑固に華佗は匙を投げる。
その間、密かに呉軍は荊州攻略の計略を巡らす。呂蒙が病を患い、若輩者の陸遜を副都督に任じたと知った関羽荊州の備えを軽くして魏攻略に兵を回した。陸遜孫権関羽を殺せば劉備の仇敵となってしまうと進言、孫権陸遜関羽を殺さぬよう呂蒙に伝えるよう命じる。


荊州益州、漢中を得た劉備の勢いは凄まじく、曹操を打ち破ったことで天下統一も目前に見えていたことだろう。しかしその勢いも長く続かず、荊州を失った蜀は人材に恵まれず最も早く滅亡することになる。急成長した中小企業が多角経営に乗り出して失敗したって感じ。
このシリーズでは夏侯惇夏侯淵の扱いが非常に小さい。曹操配下の武官で登場回数が多いのは曹仁許チョ張遼徐晃曹彰曹洪といった面々で、李典や楽進夏侯惇夏侯淵はあんまり登場も活躍もしない。あんまり多いと誰が誰だかわからなくなるしね。
このころより、夷陵の戦いで活躍する陸遜が登場している。声はウェザードーパントこと井坂深紅郎やダークナイトバットマンを演じた壇臣幸。智謀を感じさせる。