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馬上戦闘

三国志や大漢風などの中国ドラマを見ていると騎乗した上での戦闘シーンがよく描かれている。日本でも武田騎馬隊の勇猛さはよく描写されるところである。
私は騎馬の経験がないし、想像でモノを言うしか無いのだが戦闘における騎馬の歩兵に対する有利は以下のことかと考える。

  • 移動速度の速さ、およびその慣性を利用した攻撃
  • 馬体自体が持つ強さ
  • 高所からの位置エネルギーを利用した攻撃

突撃して馬体で体当たり、速度の乗った状態で繰り出される槍やナギナタの破壊力、高所を利した攻撃、そしてあっという間の離脱。一対一では歩兵に勝ち目はないように思える。
馬上の不利というと、踏ん張りを効かせにくい、手綱をさばくために片手が封じられる、馬体による死角が発生する、落馬時にダメージが大きいぐらいか。
三国時代以前に限っていうと、まだ鐙が発明されておらず、踏ん張れないため、騎乗して武器を打ち合わせるなどは不可能に近かっただろう。驍勇を謳われた呂布に付いても陳寿の記述では「騎射に優れ」とされており、董卓の武勇に付いても「騎乗して左右に弓を引けた」とあり、騎馬戦闘は弓を用いた戦闘であったことを伺わせる。
従って実際の野戦では弓兵の援護のもと、騎兵が左右に展開しつつ射撃して敵陣を撹乱し、敵の応射に耐えつつ歩兵が突撃し、騎兵は矢弾を撃ち尽くした後に下馬して白兵戦闘に参加していたのではないか。戦闘用に育成・調教された馬は育成コストを考えると乗り捨てるわけにも行かず、騎兵の従者が取りまとめて護衛して戦闘圏外に退避させていたことだろう。当然ながら部隊を指揮する将校・将軍は敵の主要攻撃対象となるため、武勇に優れていなければならなかったと思われる。
日本でも「弓馬の道」が武芸一般を指すように、騎射が戦場での主要技能だったと言えるだろう。
もちろん、矢弾が切れれば白兵戦しか無いわけで、日本刀も乗馬した状態で斬りつけるのに適した形に進化してきていることからも、騎乗白兵も行われていたことだろうが、馬を失う危険を犯すよりは下馬してたのではなかろうか。戦闘用の馬を育成するのにどれだけコストがかかるかはわからんが。