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「大漢風」を観る

REGZAの番組表でふと見つけて録画しておいたBS日テレの「大漢風 〜項羽と劉邦〜」を観る。構成、表現共におおらかさというか稚拙なものが見受けられるが、中国制作のドラマとしては良くできている方なのだろう。途中からの視聴で、劉邦がたびたび項羽に敗北し、修武に逃れて韓信の軍を取り上げるところらへんだった。前漢成立にまつわるいわゆる漢楚軍談は司馬遼太郎の小説、横山光輝の漫画などを繰り返し読んでいる上、司馬遷の「史記」にもちょこちょこ当たってて割と詳しい方だから、途中から観てもある程度スジが解る。劉邦の役者は良く雰囲気が出ていて、正に竜顔とはこういう顔だなと感じた。項羽役のほうは才気煥発・怪力無双の大男(180cm)を演じるには無理があるようだ。
小林英夫の「日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)」を読んでてその分析に深く納得してしまったのだが、そこでハタと気付いたのは、項羽は決戦主義、劉邦は持久戦主義であり、項羽のような剽悍な楚人を日本人に近い存在として描いた司馬遼太郎は「項羽と劉邦」において日中戦争を俯瞰していたということだ。日中戦争での日本の負け方はまさしく項羽の負け方と同じであり、最期に至っても「天が私を滅ぼす、用兵の罪ではない」などという姿まで近似しているのが空恐ろしい。

日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)

日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ (講談社現代新書)