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ディアスポラ読了

最近、良質の海外SFに飢えていたので、何となく避けていたグレッグ・イーガンに手を出してみた。タイトルのディアスポラとは離散という意味。特に故国を失って世界に散ったユダヤ人のことを指すらしい。
読み始めてしばらくの間、ずいぶん取っつきにくく、若干苦痛を感じた。舞台設定について何の説明もなく、想像や推量で補わないといけなかったのでいまいちのめり込めないのである。
しかし、主人公ヤチマが人格を明瞭に持ち、イノシロウとともに物質世界を来訪するあたりからだんだんと、舞台の途方もなさがわかりはじめ、ガンマ線バーストによる大惨事と、それを克服するために行われる実験や探検のスケールにクラクラと目眩さえして、そのころにはもう読書を中断したくなくなっていた。
ハードSFだけに読み進めるためには物理学の知識と理解力を必要とするのだが、この作品はハナから文系読者に理解されることを期待していないかのような難解な理論解説が頻繁にでてくる。大部分を斜め読みにしてもストーリーを追えたから、配慮はされているんだろう。
今まで読んだSFのなかでもっとも奇天烈で、スケールが大きく、一番遠くまで連れて行かれた作品であった。脱帽。

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)