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昔の日本

異国人の見た幕末・明治JAPAN 愛蔵版という本を買った。開国から明治初期にかけて外国人がとった日本の写真を集めてある本だ。昔の習俗などが解って興味深い本であった。しかし、風景写真は良いとして、人を写した写真については了解しておくべき予備知識がいる。
当時のカメラは現在のようなものとは異なり、露光時間に2〜3分(当時の最新式では10秒程度)かかるのである。乾板写真が発明されるのは1871年で、幕末〜維新当時は湿板写真であるから、常に薬品類を持ち歩き、不慮の感光を防ぐため、感光板交換などの操作は全て暗室内で行わないといけないような不便なものだった。一見、外で撮ったかのように見える写真についても、背景の絵を用意してスタジオで撮ったものもある。
この本でも人を写した写真は全てポーズを取らせた上でしばらく静止させて撮影されていると思って良い。露光時間が長いから、静止しなければ像がぶれてしまって写らないのだ。したがって、これらの写真を見て「当時の人はナンバで歩いている!」などと思ってしまうのは勘違いもいいところ。人が動いている所なんか撮れなかったのである。2,3分静止するとなると身体を捻じったままはつらいから、ナンバ的なポーズになるのだろう。

異国人の見た幕末・明治JAPAN 愛蔵版

異国人の見た幕末・明治JAPAN 愛蔵版